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ミンクジャーナル学園

乙女の文筆

2010.07.08

単三の乾電池 「おかいものノート」

(長野県  おはぎさま)



友達の結婚が決まり、前祝をしようということになった。
いつものFに7時集合だから・・・と身なりを整えつつ時計をながめる。


「あ・・・」


そうだった。また忘れてた。
時計の針はしばらく前から2時50分をさしたまま止まっていた。


テレビ台の片隅にぽつんと置かれたそれは本当に安い目覚まし時計なのだけど
時間を示す数字の周りには世界各国の地名が書かれたダイヤルがついている。
地名を12時のところにあわせるとその国の時間に針が動くという
ちっちゃいのにすごくスケールはでかい代物なのだ。


しかも1時と2時の間に丸い窓があって月と太陽が交代で出てくる。
月は半分丸窓から去り、太陽にバトンタッチしようとして、そこで電池が切れたらしい。



古谷君とさよならしてから3ヶ月が経っていた。


初めて自分は自分でいいんだなぁと思わせてくれた古谷君。
いつもニコニコしながら自転車に乗っていた古谷君。


大切な人と同じものを体験して、「楽しいね」とか「おいしいね」とか
そういう事の喜びを教えてくれたのも古谷君だった。


目覚まし時計は海外に旅行する計画をしたとき、古谷君が見つけて買ってきた。
ダイヤルをぐるぐるまわしては「お~」とか「わ~」とか言いながら二人盛り上がったり、
実際に二人の旅行に同行もした。


帰ってきてからはテレビ台の上で二人が笑ったり、キスしたり、そのうちに古谷君があまり来なくなったり、
そんな時をずっと静かに刻んでいたのに。


時計も私もいつの間にか2時50分の月も太陽もない薄暗い中で止まったままになっていた。


電池1本でまた時計は動き始めるだろう。
丸い窓から太陽が顔をだすのだろう。


今日帰りに電池、買おう。


私は手のひらにボールペンで「単三の乾電池」と書いてみんなの待つFに向かった。




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<文筆部活動/第13回目> 

 課題:おかいものノート

 締め切り:7月23日(金)

 総評日:7月27日(火)

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※ 今月のテーマのところに「おかいものノート」と入力してくださいね 。

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