乙女の文筆 今月の総評~甲斐みのりさんより~
ミンク学園「文筆部」部員のみなさま。
こんにちは。
顧問の甲斐みのりです。
26日は土用の丑の日。
鰻を食べようと思っていたのですが、
どこのにしようか迷っているうちに夜、ジンギスカンに誘われ、
結局、鰻ではない食べもので暑気払いすることに。
これは買いものの話しではないけれど、
買いものって迷えば迷うほど遠ざかってしまうもので、
だからこの頃の私はぱっと見て気に入ったら即決というのが常。
昔のようになんでもかんでも欲しくなる、
という自分ではなくなったからこその早業なのですが。
月に1・2度くらいの早業です。
しっかり栄養蓄えて、
涼し気な川沿いの道を選んで遠回りして帰ったあと。
みなさんの「おかいものノート」を読みました。
ただ欲しいもの、買ったものを並べたてるのではなくて。
欲しいもの、買ったものの向こう側に、
書き手の記憶や誰かを思う気持ちが揺らめいていたので
いわゆる買いものするときの高揚感とは全く異次元の、
切ないような、愛しいような、不思議な読後感でした。
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>原梅さん「思い出メモ。」
一人暮らしをはじめた15年前、育った家から運び出したのは机ひとつだけ。
最初に買った黄色いカーテンは思い出の中の残像となり、
今ではあれやこれやが詰まった部屋。
残っているもの。なくしてしまった、あるいは捨ててしまったもの。
そんなことが語られたあと、
最後に彼への愛情でしめくくられていたのが絶妙。
>マメノキさん「10年ぶりに君に合うから」
「おまじないの様な買い物リスト」
すてきな言葉です。
私も昔、気持ちが沈んでしまいそうなときは、
ノートいっぱい、欲しいもの書き出していました。
おまじないのようなつもりで。
>しずさん「朝」
ふたりの幸せな気配が、
最後の2行に凝縮されているようで。
甘い香りが漂う文筆でした。
>小冬さん「福100円也。」
わかるわかる。そうそう、あるある。
思わぬ出費も、手が届かぬあこがれも。
おおいなる共感を抱いたあと。
「御福マック」ものすごく断定的で個人的な記述。
最初の一文から最後の一文に辿り着くまで。
こんなに短いのに小冬さんだけの言葉で
起承転結がなりたっている、本当に魅力的な文筆!
>Yuaさん「挑戦したいワケ」
かつての自分への挑戦。
かわいくなろうという決心。
新たな恋でなくともそれらはじゅうぶん、
女の子を前進させるきっかけ。
「挑戦して、失敗してしまったわたしを」
この一文が、Yuaさんのやさしさを表している言葉だと感じました。
>ぬこさん「野菜炒め」
小冬さんにも共通していることですが。
その人のふだん通り、考えたり話したりする言葉、
地元言葉が使われている文筆は、ぐっと臨場感が高まって、
すぐ隣に気配を感じて、もちろんそれは恐怖ではなく
思わずぞぞっと、そんな感覚にとらわれることがあります。
そういう文筆でした。
「おかいものノート」というテーマをふりきり、
あるほんのひとときを描いた人間ドラマを読ませていただきました。
繰り返しにもなりますが、おかいものって、
忘れたくないことも、忘れてしまったことも、
ある瞬間を過ごした、ある気持ちを抱いた、
時間のかけらでもあるのですね。
すてきな文筆をありがとうございました!
次回は、夏休みの宿題としてまた、
規定の文字数つきで考えています。
すぐそこで足踏みしている8月に、
またお会いいたしましょう!
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