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ミンクジャーナル学園

乙女の文筆

2010.07.26

野菜炒め 「おかいものノート」

(大阪府 ぬこさま)



物欲でまみれた心がしゅわしゅわ消えてった、


おまえを、好きじゃなくなった


ふらついて真っ直ぐ歩けないかかとの高い黒い靴も、短すぎるスカートも、
私が今まで買ったもんもこれから買うもんも全部あんたのためやったらしい、
今は何も欲しいもん思い浮かばんし、
なんや、なんとも名状しがたい気持ちを落ち着かせようと、
だだだだとミシンを高速でお気に入りの布の上をめちゃくちゃに走らせてみるけどどうにもできやん、
それならと思ってきゅうりをとんとんとんとんと切ってみる、


人参をすこん、すこん、と切ってみる、


そういや
テレビを見ている最中にこの単調単純な音が聞こえてくるのが好きやって言ってたな、


短くても膝丈のワンピースばかりの私に
少しは短いのんも穿きやって言ってたな、


ぺたんこの靴ばかりで子供っぽい私に、
もうちょっと大人っぽい格好もしてやって言ってたな、


すこん、とひとつ切り落とすごとにその切り口からあんたの顔がのぼってくる、
なあ、今は何を見てんの、
おまえを好きじゃなくなったって、他に好きな子できたん、
聞いてみるけど答えはこやんしすこんと切り落とすたびにあんたの笑い顔、泣き顔、怒り顔を思い出すわけなので、庭の亀の亀吉に人参をあげようと思い持ってったった。
亀のくせに野菜が好きな変なやつ。
ひとつひとつ橙の丸いのを亀吉の口元へ持ってったったらひと口でぱくんと食べられ、
もうひとつ持ってったったらやっぱりひと口でぱくんと食べた。


なんや、そんだけのことかと私もひと口、ぱくんと食べる。


玉ねぎをさくさく切ってみるけど涙はでやん。


キャベツは嫌いやから切るのはやめとこか、
あいつは好きやからよう食べさせられたけど今はそんなことどうでもええわ。



そうやな、今日は野菜炒めにしよかな、
あ、油切れてたんやった、それじゃ、買いに行ってこよか。




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